Home

 

特別講義
 パトリック・グラハムさんの
バウラン レッスン
  BODHRÁN LESSON by Patrick Graham, © 2004  

英語版はこちら  
http://www.percuweb.ca/en/documentation/areas/europe/bodhran_lesson.html

カナダのウェブサイト「PERCUweb」に寄稿されたパトリック・グラハムさんの論文を、
許可を得て翻訳・掲載。無断転載禁止。


Special Thanks to ルーク・ボァヴェン&ロベルト・ラルーfrom PERCUweb

 
バウランとは
Bodhran (bough-rawn=バウラン)は多様な起源を持つ、アイルランドのポピュラーなフレームドラムです。

地中海地域の土着のフレームドラムと明らかに似ていることから、その起源はローマ、スペイン、北アフリカなどが考えられますが、多くの研究者からはイギリス諸島で一般的な皮のトレイやふるいなどの農具との類似性が指摘されてきました。

「バウラン」という名前の由来は定かではありません。アイルランドのゲール語にある「Bodhar(deafまたはdullと聞こえる→’おし’または’鈍い音’という意味)」ではないかと言われています。
何人かの研究者は「タンバリン=tambuorine」の「ボウリン=bourine」がなまって「バウラン」になったのではと示唆しています。事実、過去においてバウランにはタンバリンのようにジングルが付いていたと考えられています。

このドラムはしばしば12月26日の聖ステファンの日など、祭礼や儀式で使われていましたが、1920年代の初頭、バウランはショーン・オ・リエダのCeoltóirí Cualannなどでポピュラーなアンサンブルの出来る近代的な楽器として生まれ変わりました。

 

 
 


様々なバウランと演奏に使用するスティック
このスティックはビーター、ティッパー、チィピーンなどと呼ばれます

演奏テクニック

 


前から見た演奏姿勢: 
右利きの場合は左足にドラムを置き、
脇腹の横に腕で抱え込むように持ちます。

 


横から見た演奏姿勢: 
基本的には左手をドラムの枠の内側のカーブに沿わせ、
過度の倍音を消音するようにそっと皮に触れます。

 
近代奏法によるバウランと他のフレームドラムを分けるものは、その演奏テクニックです。かつてバウランは様々な手指のテクニックが使われていたと考えられていますが、現在では一般的に短いスティック(ビーター、ティッパー、チィピーンなどと呼ばれる)を使って演奏されます。

 

ビーターの持ち方: 
ビーターを右手で持ちます。持ち方にはいろいろありますが、
この持ち方のように2本の指をビーターに添えると、
より力を加えることができます。
(筆を持つような感じ・・・訳者注)


一番良く知られたバウランの演奏法はケリースタイルです。それはビーターの両端を使う流暢な手首の動きを特徴とします。
この動きは、まずドラムの皮に対してビーターの下の方をおよそ45度の角度にして持ち、ダウン、アップのストロークでドラムを打ちます。

練習1- ダウンストロークとアップストローク


↓ダウンストローク ↑アップストローク

 

   練習1の模範演奏のビデオ

画像をクリックしてください

   

       

 

リズムその1   ジーグ

バウランでもっとも良く演奏されるリズムは「ジーグ」と呼ばれるアイリッシュの6/8拍子のダンスリズムです。

実際にジーグの曲が演奏される時は、バウランがいつも同じリズムを刻んでいるだけというわけではありませんが、基本となるこのリズムを良く練習することはバウランの確実な基礎を築く、最良の方法です。

練習2 - ジーグの基本パターン


○ オープン(左手)  ● ミュート(左手)


小節内の2番目のアクセントはアップストロークということに注意してください。左手を皮の裏側で開いたり閉じたり交互に行うことで、
音を響かせたり(オープン)、ミュートしたりして特殊な効果を加えることができます。

 練習2の模範演奏のビデオ 
ジーグの基本リズム 前から見た映像 

画像をクリックしてください

  

 

 ジーグの基本リズム 後ろから見た映像

画像をクリックしてください

 

  

  

 

 
「三連ストローク」はバウランの演奏を特徴づける装飾音です。

ダウンストロークによるこの装飾音は、実際はビーターの先端を次の音と続けて打つという、ダブルストロークのバリエーションのひとつです。

この「三連ストローク」の動きのメカニズムを理解しておくのは役にたちますが、実際効果があがるのは、個々のストロークを分けて練習するより、自然な長いフレーズを利用して次第に正確さや強さを確実にしていく方法です。

練習3 - 三連ストロークを含むジーグのヴァリエーション


 練習3の模範演奏のビデオ
ジーグのバリエーション 三連ストロークを含む

画像をクリックしてください 

 

  

注意 練習3におけるダウンストローク、アップストローク、オープン、ミュートは練習2に準じます。

 

   

リズムその2    5/8拍子のリズム


ジーグの6/8拍子から8分音符を1拍取ると、5/8拍子になります。

すべてのバウランの伝統的リズムのレパートリーについて言えるわけではありませんが、伝統的な5拍子、7拍子、11拍子などのリズムを練習することは、バウランのテクニックを広げる非常に良い方法です。
次にお見せする短い5/8拍子のデモ演奏は、左手で裏側から皮を押すことによってピッチを変えています。

 5/8拍子の模範演奏のビデオ

画像をクリックしてください

  

       

 

さらに学びたい人のために

バウラン入門レッスン、いかがでしたか?
以下、バウランをもっと学びたい方のために、いろいろな情報を掲載しておきました。

Book

Mícheál O SúilleabháinThe Bodhrán (Waltons Musical Instrument Galleries, Dublin, 1984).

CDs Mary BerginFeadóga Stáin (Shanachie, 1992); Johnny ‘Ringo’ McDonagh: bodhrán
 

The Chieftains7 (Claddagh Records, 1977); Kevin Conneff : bodhrán

  Tommy HayesA Room in the North (Hanna Music, 1997); Tommy Hayes: bodhrán
 

FlookRubai (Flatfish Records, 2002); John Joe Kelly : bodhrán

CD - Rom Frank TorpeyBodhrán Tutorial (Produced by MadforTrad.com, 2001)

VHS video Mel MercierBodhrán & Bones (Interworld Music, 1993)

Web sites

The Bodhran Page www.ceolas.org/instruments/bodhran/

  Drum Dojo www.drumdojo.com/bodhran/htm
Bodhrán Makers Cooperman Drums www.cooperman.com
  Eckermann Drums www.eckermanndrums.com
  Fred Graham, Ardglen Bodhráns & Bones. Tel: (450) 923-0014

このバウランの基礎レッスンが読んでくださった皆さんのお役にたつことを願っています。
ですが、どの楽器においても各人の直感と探求心に優る上達法はないと思います。
質問や感想をお待ちしています。

パトリック・グラハム
patrick.graham@sympatico.ca
Patrick's web site: www.patrickgrahampercussion.com




来日中のパトリックさんと
2005.8.8


GapaのCD
イマジネリア
\1.500(送料\200)
お申し込みは協会まで

カナダ在住でアイルランド人の血をひくパトリック・グラハムさんは、カナダのみならず国際的に活躍し、様々なアーティストから高く評価されているマルチパーカッショニストです。
彼の音楽的アプローチは西洋のクラシック音楽、日本、南インド、地中海・中東諸国、アイルランドなどにおける様々なスタイルのフレームドラムやリズムの研究、そしてグレン・ベレズ(ニューヨーク)、ピエール・ベルーズ(モントリオール)、トリーシー・サンカラン(トロント)、尾崎太一(東京)などから学んだ異文化音楽を融合させたものです。 
そして
ガーネッシュ・アナンダン氏とのデュオ「Gapa」やゲストソリストとして参加したキヨシ・ナガタ・アンサンブルなどで、彼の様々なジャンルの音楽経験やリズムアプローチを生かし、新しい音楽の世界を創造し続けている、素晴らしいミュージシャンです。

パトリックさんは日本の伝統音楽にも造詣が深く、「鼓」の勉強のために来日された時お会いして、コンサートを拝聴しましたが、何か日本人である私以上に日本人のように感じました。
「間」という概念や「侘び」「寂び」という境地は日本独特の文化だと思うのですが、完璧に表現されていてもう脱帽してしまいました!
パトリックさんご自身も、日本音楽だけでなく、あらゆる所でこの日本的なリズムの世界を表現したいとおっしゃってくださり、本当に日本の伝統を愛してくださっていることが伝わってきました。

この度協会主催のWSを開催させて頂き、また日本のフレームドラマーのために、彼がカナダのPERCUWEBに寄稿したアイルランドの伝統楽器「バウラン」の演奏法レッスンを、特別に翻訳・掲載させて頂けることになりました。
この場をお借りして、パトリック・グラハムさん、そしてカナダのPERCUWEBの方々に篤く御礼を申し上げます。

                                        日本フレームドラム協会代表 谷口はるひ

 

 
 

 
Japan Frame Drum Association All rights reserved