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レイン・レッドモンド インタビュー    by Haruhi Taniguchi


レイン・レッドモンド

レイン・レッドモンド プロフィール    Layne Redmond

言わずと知れた、女性フレームドラマーの第一人者。グレン・ベレズ氏との演奏活動は、まさに現代フレームドラム界の礎となった。またフレームドラムの歴史に関する詳細なリサーチから書かれた大著「When the Drummers were Women」は、フレームドラマーのバイブルとも言える。

Layne Redmond公式HP
http://www.layneredmond.com/


When the Drummers were Women
内容要約はこちら



When The Drummers
Were Women」
レイン・レッドモンド著

 


インタビュービデオ
Interview Videos are here
(18 Nov. 2007 at Los Angeles)
Part1
Part2
Part3

 


ライブコンサート映像
(Concert at Annie Besant Lodge of the Theosophical Society 
Los Angeles)

 


Sundaryalahari
レインさんの最新レコーディング

 




Layne Redmond interview at Los Angeles

女性フレームドラマーの第一人者であるレイン・レッドモンドさんから
貴重なお話を伺うことが出来ました。
レインさんの演奏も含めた英語によるインタビュ
ー全容は、右欄のビデオをご覧ください。

インタビュー/Star Gazer&谷口はるひ(日本フレームドラム協会代表)
2007年11月18日@レモ・レクリエーショナル・ミュージックセンター(ロサンゼルス)

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Star Gazer(以下S): まずフレームドラムの歴史について教えてください。

<フレームドラムの歴史について>

レイン・レッドモンド(以下L):私の研究ではフレームドラムの発祥は古代エジプト、アナトリア(現在のトルコ)、ギリシア、ローマ、その近辺の島々です。
フレームドラムは世界最古の太鼓です。地中海諸国では指で演奏され、
シャーマンはスティックを使用していました。
フレームドラムはとてもシンプルな楽器で、その原型は丸い枠に皮が張られたものです。
いろいろなサイズがありますが、基本的には枠の直径が、枠の深さよりも大きいのです。

地中海諸国の古代文化では、女性がフレームドラムを演奏していました。
最初のフレームドラムは女性によって演奏されたのです。
私は多くの文化の女神像がフレームドラムを持っていることを発見しました。
そしてこれらの女神は宇宙を創造していたのです。
最初の音はドラムから発せられました。
その音が宇宙を響かせ、そこから総ての存在が始まったのです。
これについての情報は私の著書(When the Drummers were Women)に書かれています。

ちょっと言っておきたいのですが、古代日本でも地中海諸国と同様に、
神託をする女王卑弥呼がフレームドラムを演奏していたということを発見しました。
最近の研究では、卑弥呼は特定の人物ではなく「位」だったということがわかっていますが、
これについてはもっと研究を進めたいと思います。

谷口(以下T):ぜひお手伝いしたいですね!

<女神とフレームドラム>

S:女神とフレームドラムの関係についてお話願えますか?

L:私たちが子宮の中で最初に聴く音は、母親の血流音です。
私の研究では、彫像や絵画の中で女神たちはフレームドラムを膝の上に置いたり、
手に持ったりして描かれています。
これが最初の音なんです。女神たちは人間の、そして宇宙全ての創造主です。
つまりドラムはその象徴なんです。

<ワークショップについて>

S:ワークショップについて伺います。あなたが最も大切に教えていることは何ですか?

L:面白い質問ですね。というのは、私はドラムを教えながら、他のことを教えているんです。
私は心と体の融合・調和、左右の脳の共感性、「気」につながること・・・天と地のエネルギーにつながり、体内に循環させることを教えています。
そのため皆で集まってリズムをキープさせるということに焦点を当てています。

ウィリアム・マクニールという人の「キープ・イン・トゥゲザー・イン・タイム」という本があります。
彼はリズムと体の動きやチャンティングを通して、そのグループが1つになるというパワーを「Muscler Bonding」と呼んでいます。
彼によると、何千年という歴史の中で、そのパワーには2通りの使い方があると言います。
1つは宗教や祭りのために、もう一つは戦争で兵士を1つにするために・・・。
つまりそれは人を団結させる原動力だったということですね。

私はワークショップでドラムのストロークを全て教えますが、
皆にそのエネルギー(パワー)をどう使うかを教えています。
もちろんドラムの使い方も教えるけれど・・・。

ドラムを通してみんなの人生が変わっていく。
プロになったりお金儲けにはならないかもしれないけれど、
自分がもっとパワフルになって新しい仕事を始めたり出来るよう・・・。

S:各レベルの生徒がマスターしなくてはならないことは何ですか?

L:まずは毎日の練習ですね。1時間はやって欲しいけれど、忙しかったら5分でもいいの。
とりあえず全ての音(DumやTak等)を出してみて。
とにかく毎日の練習が必要です。

私は自分の生徒さんたちに、私が作った教材を渡しています。
そして私は絶対にメトロノームを使いなさいと言ってます。
まずタイム感を身につけるために・・・。それが基本です。
叩きながらステップを踏み、自分が演奏しているパターンを声に出すことによって、
頭と体がシンクロして行きます。
それによって体にリズムを覚え込ませることができます。
そうすればリズムを大きく表現出来るようになるんです。

T:それはインドのソルカットゥやボルに基づいているのですか?

L:そうとも言えるけれど、むしろ私はドラムのストロークをそのまま口で言うことを勧めています。
「Dum Dum Ta Dum Dum Ta Dum Ta Dum Ta・・・」(ドラムを叩く)
叩きながらストロークを言うことが大切です。
そうすればもし叩いている手が失敗しても、リズムをキープすることが出来るしね。

<トランスフォーメイション・リズム>

S:トランスフォーメイション(変容)について伺いたいのですが、人間はどのように変容して行くべきだと思われますか?

L:それは大きな質問ね。
私たちはより意識が鮮明になることや、いろいろな経験をして気付きを高め、
情熱を増やすことを目的として生まれてきていると思うんです。
私は長い間、スピリチュアルな修行をしてきました。
それをドラムの演奏と融合させてきました。

ヨガは17歳の時に始めたので、とても長くやっていますね。
瞑想やチベット仏教、インドの瞑想などもやりました。
日本の「茶道」もやりましたよ。マンハッタンで・・・。裏千家です。
複雑な作法を習う時間がなかったので、あまり良い生徒ではなかったけれど(笑)。
茶道教室で大好きだった先生は、特別師範でいらした「ヤマダヒサシ」先生です。
彼は大先生なのに、初級クラスしか教えてなかったんです。
だから私も上級クラスに行きたくなかったの(笑)。
ヒサシ先生にずっと教えてもらいたかったから。
今でもお茶をたてたりして、そこで習ったことをドラムに活用しています。
・・・今やっている事に集中して、その音を捧げものにするということ・・・
夕べのコンサート(注:インタビュー前夜のコンサートのこと)もそれと同じ感覚で、
全て捧げものだったのよ。

  

人間は一生懸命仕事しても、疲れたり失敗したりやりたいようには出来なかったりするし、
私自身まだ修行が足りない所もあるけれど、とにかく努力しています。
努力あるのみよね!
私たちの、この完全とは言えない状況からでも、とにかく意識向上に向けて努力して、
全てのものに貢献しようと思っています。
ドラムは私がそれを達成することを助けてくれるんです。
何でなのかは言えないけれど・・・魔法なのよね。

 

<性差とテクニック、根源的波動へのつながり>

S:男性と女性のフレームドラマーの間に何か違いがありますか?男性はテクニックを追い求める人が多いように思いますが・・・。

L:そうですね。それには文化的な理由もあるんですよ。
肉体的な理由か、文化的な理由なのかははっきりしないのですが、
長い間、パーカッショニストの大半は男性でした。
今の状況を見てみると、特に若い男の子はテクニックやスピードを追い求めることに集中していますね。
若い女の子たちも、同じようにテクニックやスピードを持てるようになってきていますが、
あまりドラムは奨励されていないようですね。
最終的には筋力の差が出てしまうのでしょう。ドラムは重たいから。
例えばブラジルのスルドは上半身全体を使うので、力が必要です。
男性は上半身の力が強いですものね。

けれどフレームドラムが素晴らしいのは、力はあまり必要ないんです。

私自身はドラムを叩くスピードには、あまり集中してきませんでした。
もっと早く叩ける人は沢山いるでしょう。
でも、明確でパワフルな音を、正確に叩ける人はあまりいません。
私の先生や、他にも鮮明な音を出せている人はいるけれど、
私が得意とするところは、明確でパワフルな音ね。
私の音ははっきりしていて、タイム感が一定して正確なの。

全てのミュージシャンのタイム感は違うけれど、
私が思うに、センス感とはその人の気の流れの表現ではないかしら。
それと宇宙の永遠の波動とのつながり・・・
私は「根源的な波動とのつながり」を教えている・・・と言えるわね。

AD9〜11世紀のカシミール地方に、私の大好きな「教義」で
「The Doctrine of Vibration(波動の法則)」というのがあります。
全てのパーカッショニストのための宗教とでも言えるかも知れませんが、
「リアリティ(実存)の中心には意識の波動がある」と言うんです。
全てのものは、その波動が物質化したものだと言うのです。

私の一番新しいCDは「スンディアヤラハーリー」と言いますが、
これはこの根源の波動から生まれた「Wave of Bliss(歓喜の波)」という意味です。

Sundaryalahari

どのようにすれば根源の波動に完全に到達出来るか・・・
どのようにすれば自分の中にその波動を通すことが出来るか・・・
偉大なるミュージシャンは、いつの時代でもそれを追い求めて来たんですよね。
彼らの内から出てくるものを見つめていくと、
それは、私たちが誰なのか、何なのかを含めた、根源とのつながりなんですよ。

そうでしょう?
ドラムのテクニックじゃないのよ。
根源とのつながり、そしてそれをどのように表現するかなんですよ。

ステージに立つ彼らを見ていると、彼らが何者で、
これまでの人生の意識レベルで何をして来たのか、
一音一音がそれを表現しているんです。
エネルギー的に、彼らが何なのか見えるのよ。

では、私たちはどうすればいいのか・・・

私にはドラムの先生もいますが、スピリチュアルの先生もいるんです。
中国の気功の先生が・・・。
2時間ほど一緒に気功をやった後、5〜10分くらいドラムを持ってただ座るんです。
私に心の準備が出来ると、エネルギーが今という時間につながって、
そして自分がそのエネルギーとつながって、そのエネルギーが自分の手に通るようになる。
それで初めて先生から演奏許可が出るの。

それが今、私がやっていることで、彼が私の現在の先生というわけです。
もちろん新しいリズムも習得しますけれど、
その裏に潜んでいる「根源」を学んで行くんです。

<女性のエンパワーメント>

S:現代において、女性のエンパワーメントにフレームドラムは役立つと思われますか?

L:私たち女性が失ったものがあるんです。
日本でもそうだったでしょうが、地中海周辺、世界中で同じ事が起こってきました。
何故?と聞かないでね・・・それは私にもわからないわ。
男達に力を与えた武器が出てきたからかもしれないし・・・
とにかくいろいろな意見がありますが、
歴史の中で、女性がメインのドラマーだったことがあるんです。
彼女たちは司祭として、共同体におけるスピリチュアルの権威者でした。
しかしだんだんとその権力を奪われてしまったんです。

最近になってアメリカでは、女性達がキリスト教の司祭になろうとしています。
それを認めた教会もあるのですが、彼女たちが司祭になったとしても、
女性形のPriestessではなく、男性形のPriestとしか認められなかったんです。
Priestessという職名は使えないんです。

カトリックの教会でも、先進的な司教たちによって、
秘かに女性が司祭になった例もあります。
ユダヤ教の
女性ラビ(指導者)も出てきていますね。
今現在になって、女性達は元の地位に戻ろうとしているんです。

私は55歳になりましたが、これまでに多くの知識を得、研究をし経験を積んできました。
今の私の役目は、それらを次の世代の若い人に受け渡すことです。
それをしなくちゃいけないんだと思うんです。

古代の社会では、司祭として人生を歩んできた女性たちが、人生半ばの重要な役割として、
若い世代に自分たちがこれまで学んできたことを伝えてきました。
それは今日の時代でも重要なことなんです。

振り返ってみれば、私も自分がやりたいことをやるために、いろいろ苦労してきました。
でもいくら待ったとしても、禅寺やカトリック教会のような組織には認められないでしょう。
それなら私が私を承認するんです!
私から学びたいとやってくる生徒達に、私が得たものを教えるんです。
自分が誰かに認められるのを待っていてはいけないんですよ。

S:ではどうやって女性ドラマーとしてエンパワーしていったらいいでしょうか?

L:おそらく多くの人は男の先生に習うことになるでしょうね。
まず「一番良い先生を選んで習いなさい」。
それから最近は女性の先生も活躍し始めているので、女性の先生も探してみなさい。

そして教えてもらえるだけ教えてもらいなさい。
でも覚えておかなくてはならないのは、男であれ、女であれ、
先生も各人の先入観を持っているということ。
それは人生の全てにおいて言えることだけれども・・・。

S:先入観とは何でしょうか?

L:例えば私のブラジルの講習会で、ブラジルの黒人の生徒達がいる教室に、
アメリカの白人が一人いたとします。
私の先入観では、この白人は他の黒人よりヘタだろうと思ってしまうこと(笑)。

先入観というのは、いつでもどこでも存在してしまうんです。
女性が男性より上手くないというのも、先入観ですね。

また先生がどのように教えてくれるか、どのような関心を向けてくれるか、そして生徒自身が持っている自己イメージというものにも、先入観は影響して来ます。
ということは、常に私たちは他人の認識に惑わされているわけです。
私たちは、自分が誰なのかを、他人の目によって把握してしまうんです。
独自の自己認識を持つことは、かなりユニークな人にしか出来ない・・・

どうすれば出来るのかしら・・・

<日本のフレームドラマーへのメッセージ>

S:日本のフレームドラマーへメッセージを頂けますか?

L:女性は女性同士で支え合うことを学ぶべきですね。
日本の状況は良く知らないけれど、アメリカではお互いをサポートするように教えられていません。
男の子の場合は、幼い頃からスポーツなどのチームワークで、
みんなが一緒に集中することを訓練されているけれど、女の子たちはそうではないんです。
私たちは一緒になって行動することを学ばなかった。
だからいろいろと解決しなければならない、感情的な問題が出てきたりするわけです。
人間として面白いプロセスですよね。

(支え合うということで)いろんなことが出来るけれど、
ただドラムを叩くということは、とてもパワフルなことなんです。
それが何故なのか、どうしてそうなるのかは説明出来ないけれど・・・
ただひたすらドラムを叩いて、その音を聴くことによって、
自分自身が変わり、自己のエンパワーメントにつながるのです。

何故なのか・・・どうしてそうなるのかわからない・・・
だけど、そうなってしまうのよね・・・。



だから・・・ただ、叩けばいいのよ! (バウランを演奏する)

S&T:ありがとうございました。

 

インタビュー・翻訳協力 Star Gazer

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コンサートのレポート等もアップしました。
ロサンゼルス・リサーチツアー

インタビューを終えて
コンサートの後、ホテルに戻ったのが午前1時すぎ。朦朧とした中で翌日のインタビュー内容を考えたのですが、その「無」の境地が良かったのかもしれません。かなりつっこんだ内容にも関わらず、真剣に、そして濃いお話を聞かせて頂けました。
女性としてフレームドラムに出会い、感じていたことをレインさんと分かち合えたような気がします。
そして的確な通訳をしてくださったStar Gazerさんにも感謝します。ありがとうございました。

谷口はるひ(日本フレームドラム協会・代表)

 

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